オーディオインターフェイスは従来はレコーディングやDTM(作曲)の用途で必須のツールでしたが、最近では宅録用途の他にも、Youtube配信やゲーム実況、歌ってみたなど、配信、動画コンテンツ向けに買う人が増えています。
音質アップのためにもオーディオインターフェイスを取り入れたい!
でも種類が多すぎてどれを買うべきかわからない…
という方のために配信、ゲーム実況、音声収録用途に向いているオーディオインターフェイスの選び方とおすすめの機種について書いていきます。
→おすすめオーディオインターフェイス紹介まで飛びたい方はこちら
そもそも「オーディオインターフェイスって何?」「スマホだけじゃダメなの?」という人は以下の記事で配信におけるオーディオインターフェイスの重要性について色々書いてるので読んでみてください。
配信、実況、動画の音声収録向けのオーディオインターフェースの選び方
オーディオインターフェイスはパソコンや音楽機材のことを知らないと、少しとっつきにくい専門性の高い機材なのでまずは役割から簡単に説明していきます。
オーディオインターフェイスは何が出来るの?
簡単に書くとマイクやギターの音をパソコンに伝えるための機材です。
オーディオインターフェイス経由でマイクに吹き込んだ音声を綺麗にパソコンに伝えることによってノイズ無しで音声を配信に載せたり、音声や楽器を録音することが出来ます。
更にもう少し詳しく書くと、マイクやギターで入力する生の音はもちろんアナログ音なのですが、それをパソコンで読み取るためにデジタル信号に変換する機材です。
これをD/Aコンバーター(デジタル/アナログ)、もしくはDACと言います。
ハイレゾ用のポータブルアンプよく言うDACがまさにこれのことを指します。
オーディオインターフェイスでなぜ音質があがるの?
これはオーディオインターフェイスを導入するから音質が上がるというよりも
音質の高い機材を使うのにオーディオインターフェイスが絶対に必要だから、という結論になります。
そもそもPCについてるマイク端子と、コンデンサーマイクなどの音質の高いマイクでは端子の形状が異なります。
オーディオやマイクなどの音響機材のケーブルはXLRケーブルやフォンケーブルといった太くてノイズの乗りにくいケーブル使いますが、そのケーブルを経由して綺麗な音をパソコンに入力してくれるのがオーディオインターフェイスです。
なので、有名配信者や音質のいいナレーションをしている方の機材紹介動画なんかには、マイクと合わせてかなりの高確率でオーディオインターフェイスが登場します。
配信用途でオーディオインターフェイスを選ぶ際にチェックしたいポイント5つ
配信やゲーム実況で導入するオーディオインターフェイスで重視したいポイントは以下の通りです。
配信中に操作しやすいのはミキサー型
上面に操作つまみや端子がついているミキサー型が配信する上で一番操作がしやすいです。
ただ、種類自体は少ないので通常の前面、裏面に端子のついている形状も合わせて確認しましょう。
反対に据え置き型の前面、背面に入出力端子のあるタイプは元々のオーディオインターフェイスの形で、これはモニターの下に気軽に設置出来たり、前面からの端子の抜き差しが用意だったりとこちらもメリットはあるので自分にあった形状を選びましょう。
入力端子の数が足りているかを必ず確認する
例えば弾き語り配信はマイク1つでも出来ますが、自分以外にゲストボーカルを入れたり、スタジオで配信するときにカホンを入れたい場合はマイクがもう1つ、さらにシンセサイザーを入れたい場合はフォン端子LRの入力端子が必要です。
ここで大事なのは「自分が配信でやりうる一番入力が多い場合を想定すること」です。
やりたいことに対して「入力数が足らない!」ということに後でならないように気を付けて選びましょう。
コンデンサーマイクに対応(ファンタム電源付き)
コンデンサーマイクを使うためにはファンタム電源(微弱な電流)が搭載されている機種である必要があります。
最近のオーディオインターフェイスにはほとんど搭載されている機能ではありますが、一応スペック上で確認しておくのが良いです。
古めの中古品やマイナーメーカー品を買う場合は注意してスペックを見ましょう。
ループバック機能があると便利
PCの中で再生している音を配信に載せるための機能です。OBSなどの配信ソフトに同様の機能が搭載されていますが、オーディオインターフェイス側で物理的に同期出来るのは何かと便利です。
配信用途では音質のこだわりすぎに注意
音質面について、配信用途ぐらいであればこだわり過ぎるのは良くないです。
なぜならオーディオインターフェイスは元々DTMなどの楽曲制作を目的に作られているので、エントリーモデルであってもある程度の音質クオリティがあります。
もし、音質面について心配であればオーディオインターフェイスのスペック部分を見て
サンプリングレート「24bit/96kHz」以上の表記があれば安心です。
ただ「16ビット/24ビット、44.1/48kHz」でもスペックが低いわけではなく、全く問題の無い録音・配信が可能なので、音質にこだわるよりも配信で使う場合は操作性や機能、入力端子の種類などを気にするようにしましょう。
オーディオインターフェイス自体の音質を気にするよりはコンデンサーマイクのグレードや録音環境を整える方が大事です。
- ファンタム電源…コンデンサーマイクに使用する電源(+48V)のこと、現在主流のオーディオインターフェイスにはほとんど備わっていて、スイッチでオンオフが可能。
- ループバック…パソコン内で鳴っている音声をオーディオインターフェイス側の入力に送れる機能、これがあるとBGMを鳴らしたり、歌ってみた配信で声と音楽の同期ぴったりに歌うことが出来ます。ループバック機能が無くても配信ソフト(OBSなど)でパソコン内音声の出力は出来るので、無いと絶対ダメということはありませんが、何かと便利な機能です。
配信向け、ゲーム実況向けでおすすめのオーディオインターフェイス
AG03MK2(YAMAHA) 配信用オーディオインターフェイスの最適解
ループバック | 〇 |
48V対応 | 〇 |
入力端子 | XLR入力、フォーン端子入力(ステレオ/モノラル) AUX入力、3.5mm端子入力(ヘッドセット) |
エフェクト搭載 | 〇(COMP/EQ、リバーブ、専用ソフトで細かく調整可能) |
付属ソフト | Cubase AI |
その他 | USB2.0 / DC5V外部電源 / フットスイッチ対応 |
とにかく便利に使えるYAMAHAのAG03は配信ツールとしてのスタンダードで、かつ最適解と言えるスペックを持っています。(現行機種はMK2になっています)
オーディオインターフェイスの中では珍しい上面で操作できるミキサー型のレイアウトを採用し、直感でも操作しやすく、もちろん高品質のコンデンサーマイクを使用可能。
ワンボタンで音声にエコーをかけれて、さらにヘッドセット端子があるので、とりあえず持ってるヘッドセット使って、マイクは後で購入…なんてことも出来ます。
さらに、AG03はその人気ゆえトラブルがあった際の情報もネット上やYoutubeで拾いやすく、何か不具合が起きた時の調べ物が楽なことも特徴の一つです。
当サイトでもAG03の使い方について詳しく説明した記事があるので、気になる方はチェックしてみてください。
- リアルタイム操作がしやすいミキサー型のレイアウト
- ループバック機能あり
- ヘッドセットに対応
- AUX(外部入力に対応)
- ワンボタンでリバーブ、エフェクトをかけれる
AG06MK2(YAMAHA) 楽器を使うならこちら
ループバック | 〇 |
48V対応 | 〇 |
入力端子 | XLR/フォーン端子入力 2(コンボジャック)、フォーン端子入力(ステレオ) RCAピン入力、AUX入力、3.5mm端子入力(ヘッドセット) |
エフェクト | 〇(COMP/EQ、リバーブ、アンプシミュレーター、専用ソフトで細かく調整可能) |
付属ソフト | Cubase AI |
その他 | USB Type-C / DC5V外部電源 / フットスイッチ対応 |
しゃべる配信をするだけならAG03で十分ではありますが、マイクをもう1本、もしくは弾いてみた配信などを行う場合は入力チャンネルの多いAG06がおすすめです。
AG03の機能にプラスしてエレキギターやベースも入力可能なコンボジャックがもう1基ついてます、さらにRCAピン(赤白の端子)で外部音も取り込めるので外部BGMやサンプラーに対しても独立した音量調節が可能になっています。
値段も数千円変わる程度なので、少しでも演奏予定のある方は大は小を兼ねる的な意味でもAG06にすることをおすすめします。
AG03と比べた特徴
- 2つのXLR端子(コンボジャック)でマイク2つ入力可能
- RCAピンの入力チャンネルを搭載
- ギター入力用にワンボタンでエフェクトをかけれる
AG03と共通の特徴
- リアルタイム操作がしやすいミキサー型のレイアウト
- ループバック機能あり
- ヘッドセットに対応
- AUX(外部入力に対応)
- ワンボタンでリバーブ、エフェクトをかけれる
また、AG03/AG06以外で上部に操作端子がある配信向けのミキサー型のオーディオインターフェイスについては下記のページで詳しくまとめているので、こちらもご覧ください。
UR22C(STEINBERG) 歌ってみた収録や楽器録音の用途にも対応
ループバック | 〇(専用ソフトでon/off) |
48V対応 | 〇 |
入力端子 | XLR/フォーン端子入力 2(コンボジャック) MIDI IN/OUT |
エフェクト搭載 | 〇(専用ソフトで設定) |
付属ソフト | Cubase AI |
その他 | USB3.0 type-C / DC5V外部電源 |
UR22CはエントリーモデルでありながらUSB3.0を搭載した高速規格での低レイテンシーを実現したオーディオインターフェイスです、価格帯のことを考えるとかなりのハイスペックと言えます。
旧機種のUR22mk2はDC5Vの給電やUSB3.0ではなかったため、単純にスペックアップして登場したオーディオインターフェイス入門の決定版と言えそうです。
配信用途でも使えるようにループバック機能を搭載しており、専用ソフト(dspMixFx Ur-C)によって細かいマイクエフェクトやEQ/COMPなども設定可能です。
UR22Cは配信だけでなく、動画制作でナレーションをしたり、楽器の録音もする方にはおすすめなオーディオインターフェイスです。
- USB3.0で高速通信が可能(低レイテンシー)
- 高音質マイクプリアンプ Class A D-PREを搭載
- コンボジャック2基搭載(XLRケーブル、フォーン端子両方が刺せる)
- ループバック対応(専用ソフトで設定)
- Cubase AIが付属
UR12(STEINBERG) 安くても機能が詰まってる廉価版
ループバック | 〇(専用ソフトでon/off) |
48V対応 | 〇 |
入力端子 | XLR端子入力 1 フォーン端子入力 1 |
エフェクト搭載 | 無し |
付属ソフト | Cubase AI |
その他 | USB2.0 |
UR12は価格を1万円に押さえながら、配信に必要な機能が揃っているオーディオインターフェイスです。
UR22Cの廉価版という立ち位置ですが、コンデンサーマイクを繋げればUR22Cとほぼ同じ音質が得られるので、使う機材がコンデンサーマイク1本のみという場合はこちらで十分だったりします。
ループバック機能のon/off(PCのみ)もソフトを通じて操作できます。
ただ、マイクを2本使いたかったり、宅録(DTM)目的であれば拡張性も考えて出来ればUR22Cを導入したいところです。
- なんといっても1万円の低価格
- 音質は他のURシリーズと同等の高音質
- ループバック対応(専用ソフトで設定)
- Cubase Aiが付属
UM2(ベリンガー) 格安だが入門用としては十分
ループバック | 無し |
48V対応 | 〇 |
入力端子 | XLR端子入力 1 フォーン端子入力 1 |
エフェクト搭載 | 無し |
付属ソフト | 無し |
その他 | USB2.0 |
UM2はベリンガーから出ている格安のオーディオインターフェイスで単純にマイクから音を入力する目的で使うには必要十分な機能を備えてます、価格は驚異の6000円以下!
ただし、ループバック機能も無ければエフェクトも無く、付属ソフトも無いです。
また、少し難しい話になるのですが、UM2はドライバがフリーウェアのASIO 4ALLしかインストール出来ないという欠点があります。
これはレイテンシー(遅延)が発生する原因になるので安定性に欠ける可能性があります。(ただ、配信用途で気になるレベルではないと思います。)
UM2は「余分な機能が一切いらずにコンデンサーマイクを使いたくて、なおかつ最低価格を求めている方」になってくると思います。ループバック機能はOBSなどの配信ソフトに付いている機能で問題無いという方は配信でも十分使える性能を持っていると言えます。
歌や楽器の収録用途であればASIO 4ALLしか使えないことは音の途切れやレイテンシー(遅延)の増幅に繋がるので、UR22Cなどの標準的なオーディオインターフェイスを選ぶ方が良いでしょう。
- 低価格(6000円未満)で最小の構成
- 基本的な用途(コンデンサーマイクの使用)はこなせる
Soundcraft Notepad-12FX 多人数でのライブ配信にも対応
Notepad-12FXはイン数がなんと12もある豊富な入力が可能なミキサー型のオーディオインターフェイスです。
EQがLOW、MID、HIGHとそれぞれ独立して調整が可能で、エフェクトのかかり方もチャンネルごとに調整出来るという優れた機能もありながら価格は2万円以下というかなり安めなお買い得品です。
さらに4つあるコンボ端子のうち、Hi-z対応の端子が2つもあるのでエレキギターとエレキベースの同時入力が可能です。(これはオーディオインターフェイスではかなり珍しい)
Notepadシリーズは他にも入力数が少ない「Notepad-5」「Notepad-8FX」がありますが低価格でかなり利便性に富んだオーディオインターフェイスと言えます。(Notepad-5にはエフェクト非搭載)
YAMAHAのAG03/AG06が配信向けの鉄板のオーディオインターフェイスですがNotepad-12FXはマイクのイン数が4本あるという特徴を生かしたアコースティックライブや生配信に使えて、なおかつミキサーとオーディオインターフェイスを1台で済ませられるのでNotepad-12FXは非常に便利な機材と言えます。
ループバック | 〇(専用ソフトでon/off) |
48V対応 | 〇 |
入力端子 | XLR端子入力 4(そのうちHi-z対応 2) フォン端子(LR) 3 RCAピン(LR) 1 |
エフェクト搭載 | 〇(ディレイ、コーラス、リバーブを選択可能) |
付属ソフト | 有り |
その他 | USB2.0(4in/4out)、3バンドEQ搭載 |
- 入力数12という豊富な入力端子
- エフェクトを好きなチャンネルに自由にかけれる
- Hi-z入力端子を2つ持っているのでギターとベースの同時入力が可能
- LOW、MID、HIGHを調節できる3バンドEQを搭載
PodTrak P4(ZOOM) 多人数でPodcast、ラジオ収録などに便利
ループバック | 無し |
48V対応 | 〇 |
入力端子 | XLR端子入力 4 (ヘッドホンアウトも4基搭載) |
エフェクト搭載 | 無し |
付属ソフト | 無し |
その他 | USB Type-C /DC5V外部電源対応 /単三電池2個で駆動可 |
少し変わり種ですが、音楽機材の有名メーカーであるZOOMから出ている多人数録音の対応が可能なPodTrak P4はオーディオインターフェイスとして利用可能です。
4つのXLR端子を持ち同時入力、そしてヘッドホン端子も4つありそれぞれモニタリングが可能です。
またSDカードスロットを備えており、その場でダイレクトに録音も可能というレアな機種です。
使用用途が当てはまる人にはピッタリの商品で「こういう機種を探してた!」と思わず言いたくなるような機種です。
気になる方は公式ページや解説動画で調べてみてください。
- PodCastなどで複数人の収録を想定したオーディオインターフェイス
- 4つのマイクを同時に収録が可能
- 運びでの収録を意識した携帯性と乾電池駆動や外部電源に対応
- ファンタム電源(48V)もマイクごとに切り替え可能
- それぞれ独立したミュートスイッチあり
オーディオインターフェイスのおすすめまとめ
配信向けのオーディオインターフェイスについてまとめてきました、ここで紹介した以外にも沢山のオーディオインターフェイスが世の中にありますが、配信用スタンダードなAG03や、DTMもこなせるUR22Cなど代表的な商品で大概は事足りるのが現状です。
DTMも配信も極めていくにつれて高音質を求めるようになり、マイクやオーディオインターフェイスの沼にハマっていくわけですが最初は当ページで紹介している機材で本当に充分です。今はかなり安い価格で機材が手に入るので、配信での音質に少しだけでも拘りたくなったら是非オーディオインターフェイスとコンデンサーマイクを導入するのをおすすめします。
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